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GALLERY REPORT 岡田公彦展 2007.11.16-2008.01.06 |
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(a)展覧会風景
(b)豊田氏生涯学習センターのコンペ案
(c)アパレルメーカーの店舗デザイン案
(d)模型内インテリア
(e)模型内部より窓の外を見る
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岡田さんの作品には螺旋の形を取り入れたものが多いことに今回の展示で気がつきました。碑文谷の集合住宅、豊田氏生涯学習センターのコンペ案(写真b)、アパレルメーカーの店舗デザイン案(写真c)、そして今回巨大模型を展示した「広島の住宅」にもその傾向が伺えます。
今回の展覧会のメインとなったのは現在建設中の「広島の住宅」の模型で、なんとサイズは1/6という巨大なものでした。このサイズだと室内がよく見えるので、インテリア(写真d)もこだわって制作されていました。スパイラルの形状をした住宅で、(真ん中が空いていて真上から見るとドーナツ状になっている)壁面に沿って長い窓が両側に開いていました。そのためドーナツの真ん中の空いた部分に立って、「室内から見た屋外の景色」(写真e)を見ることができました。模型が巨大ということもあり、通常模型内部のインテリアはシンプルなものにする人が多いように思いますが、今回はとてもこだわって制作されていてとてもカラフルでした。 この住宅は広島県の瀬戸内海に面した高台という立地にあります。「防犯対策」と「景色を楽しむ」という両面の理由から、何本かの細い鉄の足の上に、まるで“鳥の巣”のように、住居部分が乗っかっているような斬新な形です。
鉄の棒は、以前の岡田さんが手掛けた商店街にある店舗のリノベーションの際にも使われていました。その店舗も斬新で、「うなぎの寝床」のような細長い建物の部屋の間仕切り壁を取り、天井も高くし、その代わりに鉄の棒を壁から屋根にかけてオブジェのように何本も突っ張らせて構造を強くしていました。以前より数段スペースが広く感じられて、鉄の棒もアクセントとなったギャラリー風の空間に生まれ変わりました。
岡田さんは「生物としての本能を大切にして物を作りたい」と強く語っていました。その根本的な理由(生い立ちとか人生経験とか)は今もいろいろ模索しているようでしたが、きっかけは、現在の建築業界に対して疑問を持っているからなのではと感じました。真逆のものを求めているわけでも、強い態度を示しているのでもありませんでしたのが、確かに疑問を抱いているようにでした。
建築を論理的な面からだけではなく、もう少し自由に考えていきたいという意見を、他の30代の建築家の方から聞いたことがあります。「脳で考えた人工的な面白さに、もう少し本能的な部分をプラスしていきたい」と岡田さんは言っていました。疑問はそういう点にあるのだと感じました。私は実際建築の仕事をしているわけではないので肌で感じることはできませんが、建築業界の人とそれ以外の人達との間に感覚的な溝を感じているようでした。
建築の話とは少し離れて、これは余談なのですが、私は岡田公彦展のオープニングパーティーでの質問タイムで印象に残ったことがありました。岡田さんは即答しにくい質問(「なぜ“螺旋”が好きなのか?」など)が出た時にはっきりとした答えを出せず、「まだわかりません」と答えていました。(ちょっと申し訳なさそうに。。) 私は自分を振り返ってみて、言葉にしずらい問題に対して、答えを急ぐせいで無理に言語化しすぎているのではないだろうか、とその時思ったのです。言葉にならないことを無理に言葉にすると間違って伝わるだけでなく、そのことに対する自分の中の認識まで固定してしまうことになるかもしれません。
大切なことほど消化するのに時間が必要だと思います。 大人になると多くの人に納得のいく答えを突如求められることがあるのですが、その答えはその場しのぎであったりすることも多々あります。自分にとって機が熟した時に、一番得意な方法で人に伝えることができればその方がいいと思います。建築家にとってそれは言葉ではないかもしれません。 岡田さんの「わかりません」という返答で、結果的には岡田さんの人柄が伝わったように感じました。
(ギャラリー担当・立松千春)
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