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GALLERY REPORT 谷尻 誠 展「東京事務所」 2008.09.20-2008.11.09 |
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(a)展覧会風景
(b)模型
(c)「拾う建築のデザイン」展
(d)DesignTide会場 準備風景
(e)DesignTide会場
エントランス
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「谷尻誠展−東京事務所-」(写真a)は、サポーズデザイン事務所の風景を、そっくりそのままギャラリーに移したような展覧会でした。
建築模型やパソコン、素材のサンプルなどの他にもポストカードや普段読んでいる本、漫画なども置いてありました。事務所の中のものを好きに見れたら面白いのでは、というところから生まれた展覧会で、見積書も含めほとんどのものが手にとって見られます。パソコンの前に携帯電話(ダミー)が置かれてあるところなどはとてもリアルな演出でした。棚や作業台、椅子などは、実際に展覧会終了後に本当に開所する「東京事務所」で使用するものです。
たくさんの模型が展示してありましたが、それらはインテリアの作り込みまでとても細かくされていました。何種類もある椅子の模型も、本物のデザイナーズチェアから型を起こして作られています。(写真b)観葉植物の表現も何パターンもありました。やはり模型を見るお施主さんは設計のプロではないので、インテリアがあると生活のイメージがしやすいです。また見ていて楽しい感じがするということも、大切なことだと感じました。
会期途中から応接スペースに置かれていたラタン製のソファも、結婚式場のために谷尻さんがデザインしたものでした(製作・E&Y)。模型がそのまま大きくなったようなそのソファは、ラタンのナチュラルさと寝椅子の優雅な形がミックスされていて、リゾート地に合いそうな素敵なソファでした。
「展示物をただ見るだけでなく、体験のできる空間。」
「見に来た人も何か参加できるような展覧会。」
これらのことは、まだ展示内容が全く決まっていない段階から口にされていたことでした。見に来た人がものを動かして、位置が変わったり足されたりすることで展示空間が変わっていくことも、コンセプトの1つです。
以前福岡で谷尻さんが展示された「谷尻誠展 拾う建築のデザイン」(写真c)も、このようにお客さんと一緒に作る展覧会でした。大きめのチップ状に切った廃材の段ボールが落ち葉のように会場の床に敷き詰めてあり、人が通ると自然に“けもの道”ができます。人が動くことでどんどん展示会場の形が変わります。それは来てくれた人みんなで展覧会を作っているかのようです。
体験を通して得られるものは記憶に残ります。(特に子供は大喜びだったそうです。)今回の「東京事務所」には、その福岡の展覧会に来られた方のメッセージが書かれたスケッチブックも置いてありましたが、見るとその自由な空間に触発されたような、自然で率直な感想がたくさん見られました。
細やかな配慮とダイナミックな発想の両方を併せ持つところが、谷尻さんの魅力です。
ちょうどこの展示の会期が「DESIGN TIDE」と会場構成の仕事と時期が重なっており、そちらもとても面白かったです。
なんと不織布というキッチンの排水口ネットに使われている素材でブースを作ったのです。不織布の繊細な質感が、それが包んでいるものを壊れやすくて貴重なものであるように感じさせます。そして光をやんわりと通す様子がとても綺麗でした。
このようにして身近な生活用品が、立派な建築資材となりました。これらのブースは大きな風船(写真d)によって浮かせるように建っており、これもまた大胆でした。
向こう側が透ける不織布は、空間をはっきりとは区切りません。「DESIGN TIDE」のような数日間のイベントは、消えてしまう花火のような、はかなさがあります。イベントは、一時の「ハレ」と終わってしまう「はかなさ」の2つが醍醐味だと思います。不織布の半透明で、心もとない存在感は、その感じにとても合っているように思いました。お祭りの間にだけに現れて、終わると消えてしまう“蜃気楼”のようなイメージを喚起させられました。
会場に入る手前のエントランス部分(写真e)は短冊状の不織布が天井から無数にわげられていました。これも実はブースを作った時にできた布の切れ端です。再利用なのです。
不織布のブースは軽くて、簡単に移動でき、廃材の量も少ないという利点あります。建築をしながらリサイクルのことも考えるのは
難しいことだと思いますが、これからも展示やインスタレーションの時こそ、その柔らかな発想で通常建材には使用しないものに
どんどんチャレンジし、新建材を開拓していって欲しいです!
この度は大変多忙な中の展示にも関わらず、ボリュームのある展覧会にしていただきました。 たくさんの方がご来場になり、改めて谷尻さんの注目度の高さが伺えました。
そして所員の方々がとても明るく、忙しいながらも楽しそうに仕事をしている雰囲気がとても印象的で、見ているこちらまでパワーをもらったような気分になりました。
写真:(c)三菱地所アルティアム ブログより (d)サポーズデザイン ブログより
(ギャラリー担当・立松千春)
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