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GALLERY REPORT 成瀬友梨+猪熊純 展 09.08.21-09.09.23 |
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(a)成形合板の椅子
(b)ひとへやの森
(c)ひとへやの森・模型
(d)ワールド店舗内装
(d)ROOM101
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成瀬・猪熊建築設計事務所のお二人はこのたび、建築のみならず家具や内装作品、ランドスケープなど様々な形のアイデア等、これまでの作品を総括するような展示をしてくださました。赤いカーペットのギャラリー内に、模型や写真、実物大の試作の椅子と違った形態の展示が映えるような、同じ赤色の展示テーブルを高さを違えて制作し、その上に展示をされていました。展示空間の構成から考えて頂いた今回の展示、その中でも特に印象に残ったものを中心にいくつかご紹介したいと思います。
まずは、原寸模型の展示されていた「成形合板の椅子」(写真a)から。こちらは天童木工主催のデザインコンペで入賞されたもので、一枚の合板からできている椅子です。合板にストライプ状の切り込みを入れ丹念に織り込んで行くことで、このような立体形を作っています。この展示されていた模型にも座ることができました。重さも一人で簡単に運べるくらいです。実際、工業的に生産可能となれば、商品化の可能性もあるとのこと。デザイン性と実用性を合わせ持った、シンプルで合理的な形でした。デザイナーズ家具だしボリューム感もあるのですが、空間をとがったものにしない、温かみのあるプロダクトとなっていると感じました。スリットにもリズム感があり、軽やかな印象を受けました。
エイブルのコンペで優秀賞を受賞した「ひとへやの森」(写真b,c)も写真と模型が展示されていました。
これは約35uのワンルームを、壁ではなく木のオブジェによって分けており面白い空間を作っています。向こう側が見える木のオブジェは空間を緩やかに遮っており、有機的な形からは優しい印象を受けます。写真を見ると、床に物が散らばっていたりオブジェには服を吊るしたりと、生活感のある部屋となっています。そしてむしろ、これらの物があることで生き生きとした空間に見えました。その部屋で生活する人とものを含めて空間として考えた作品です。猪熊さんはオープニングパーティーのレクチャーで「壁の素材を決めたりとかそういうのではなく、物の配置場所を制御する方法を考えるのがデザインであり、つまり自然と人の人やものの居場所が決まるような計画をすることがデザイン」と、おっしゃっていました。その考えが如実に表現されています。普通なら隠したくなるような生活感を、魅力的に変える空間だと思いました。
この「ひとへやの森」に考え方として似ているのが、波打ったアクリルプレートをピアノ線で宙に浮かせて、その上に商品を展示するという、「ワールド店舗内装」(写真d)計画案です。これも洋服の配列が空間の雰囲気を決める、「使う人や物が作る空間」です。この波打ったアクリルの上に洋服を置く事で、平坦なところに置かれるよりも布の質感が伝わってきます。また、内装がそのブランドのイメージを作るのではなく、洋服自身がショップのインテリアとなり、ブランドのイメージとなります。水面に浮かぶ花びらをイメージしたこの作品。現在は停止中のプロジェクトだそうですが、実現したらとても美しいショップになりそうです。
次にを「ROOM101」(写真e)をご紹介致します。これは分譲マンションのLDK部分のリノベーションで、以前はキッチンとリビングの間がカウンターと吊り戸棚で仕切られた状態で、せっかくの3.4mもの天井高を生かしきれていないという状態でした。そこでキッチンの収納部分を、壁から突き出たような形でいくつもランダムに宙に浮かしました。結果、リビングとの仕切りを無くして開放感を得るとともに、リズム感のある空間となりました。全体の収納量も上がり、また必要な場所に収納場所を確保することができました。立体的に間取りを考えて収納の配置を工夫した事で、空間がより有意義に使われるようになったことを感じます。内装の構造設計が可能にする、新しい間取りです
このような縦方向での間取りの考えがされている別の作品に、「AlcoveHouse」があります。「9坪ハウス2006」で優秀賞をとった作品で、平面的にも立体的にも「田の字型」をしています。立方体の真ん中に四角柱の穴が空いているような形で、「穴(くぼみ=Alcove)」という共用空間を、大胆に立方体の中央に配置したような作品です。どの部屋もプライベートなスペースは確保しつつ、このくぼみを中心に緩やかに繋がっています。
この他にも魅力的な計画をたくさん紹介して頂いた展示で、今回お二人のこれまでの作品の流れを、通して見る事ができました。そして私が気がついた事は「成瀬・猪熊さんは空間を壁で仕切っていることが少ないな」ということでした。空間の使用される目的やそこを使う時の状況、そんな「人」と「空間」の両方がお二人の設計の根本にあり、そこから改めて、その空間に本当に必要な物を、常識にとらわれず新たに1から選定して行く。そんな「人ありき」と「改めて考える」という姿勢の結果、このような空間が作られているのではないかと感じさせられた展示でした。
(ギャラリー担当 立松千春)
写真b・Masao Nishikawa、写真e・Ide Takahisa
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